レコーディングに要した時間は「KAMAKURA」超えの約3000時間、メンバーも全員40歳を越え、20周年の記念碑的アルバムではなく人生を考えさせるアルバム。
デビュー20周年、集大成にはまだ早い。コンセプトは喜怒哀楽、「死にたいけど生きたい」という矛盾。
「さくら」
1998/10/21
@NO-NO-YEAH/GO-GO-YEAH
AYARLEN SHUFFLE〜子羊達へのレクイエム〜
Bマイ フェラ レディ
CLOVE AFFAIR〜秘密のデート
D爆笑アイランド
EBLUE HEAVEN
FCRY 哀 CRY
G唐人物語[ラシャメンのうた]
H湘南SEPTEMBER
IPARADISE
J私の世紀末カルテ
KSAUDADE〜真冬の蜃気楼〜
LGIMME SOME LOVIN'〜生命果てるまで〜
MSEA SIDE WOMAN BLUES
N(The Return of)01MESSENGER〜電子狂の詩〜<Album Version>
O素敵な夢を叶えましょう
このアルバムを聴きなおして思ったのはなんてマイナーチューンが多いのかってこと。
確かにこの頃の日本はバブルの落としまえをつけられず、経済はドン底、殺伐とした世の中だった。
「さくら」というと春、満開の華やかなイメージだが、桜の木の下には人の遺体が埋まっているとかマイナーな逸話もある。まさにこのアルバムのように陰と陽がある花なのだ。
@ガツンと歪ませたギターは太く重みのあるリフを奏で、サビのバッキングなどはジミヘン(Jimi Hendrix)のよう。
仮歌をそのまま使ったのかと思わせるシュールな詩だが、韻を踏んだ言葉あそび。
この曲の“ナイチンゲール”(Nightingale)は昼夜を問わず美しくさえずるツグミ科の小鳥の事。
Aストーンズ(The Rolling Stones)の「ハーレムシャッフル(Harlem Shuffle)」をもじったタイトル。
ストーンズっぽさはないが、テンポのよいR&Bロック。
サラバ(sarva)は梵語で「一切」の意味。
Bご存知だろうか、実はレコーディングセッションのとき、ホーンセクションで演奏される「勝手にシンドバッド」の『ラララ〜』の部分がこの曲のイントロについていたことを。(ツアーでも演奏された)
まぁ聴いてみればそんなことは見事に吹っ飛ぶ、まさに悪役プロレスラーのような反則技の連続(笑)
これだけエロを連発されたらいやらしさはみじんもなく吹っ飛び、笑うしかないのだ。
仮タイトルは「美しき青きドナウとは程遠い音楽」。
C人気女優松嶋菜々子主演のドラマ「スウィートシーズン」の主題歌らしく、ビートルズのプロデューサー フィル・スペクターを意識したキラキラとしたいわゆる売れセンのポップス。
メロディは美しいし、ノリも心地いいし、マイナーコードの使い方もカッコよい。アレンジはホーンが(山本)拓夫さん、ストリングスは島健さんとこちらも王道。
発売前の年越しライブ「おっぱいなんてプー」で、ター坊(大森隆志)が足踏みしながらニコニコギター弾いてたのを思い出す。
D社会派な歌詞をデジタルエフェクトとディストーションギターのサンプリングで包み込む。
「原稿を読み国家を救う:●渕首相」や「娑婆に毒を振るう:●原彰晃」など現実的な詩になっているが、レコーディングセッション時点ではコンセプトは同じながら詩は抽象的であった。
ちなみに『夕方目に沁む〜』と『Japan-no More-rhythm〜』も逆順で、セリフはなかった。
仮タイトル「川長の子供」改め「白鳥の湖とはかけ離れた音楽」。
Eビーチボーイズや70年代ウエストコーストを思わせるメランコリックなナンバーで、デジタルサウンドと生音が溶け合っていて美味。
シングルとしては地味だったが、聴くたびに味がよくなってくる。忘れかけたとき、ふいに聴くと鳥肌モノである。
間奏のスライド奏法のソロは、佳ちゃん(桑田佳祐)のドブロギターによるもの。
F万葉の言葉でもロックになってしまうんだなと感心しきりの曲。演奏の独特の宇宙感と言葉の世界が楽しい。
途中に入る赤ん坊の泣き声と時計の針の音のようなウッドブロックの音は、母のお腹の中にいる頃を通り過ぎ万葉の時代へ時間旅行をしているようだ。
G原(由子)さんにピッタリの春を思わせる曲調だが、詩は芝居や小説にもなった実在の幕末開国悲話を描いている。
17歳で異人ハリスの侍妾(じしょう)となり、激動の人生を歩むこととなったお吉の物語。
物語の背景を知らなくてもメロディと原さんの声で泣けます。
※ラシャメン:洋妾
H『佳ちゃんしばらく湘南をわすれてるなぁ』と思ったら、来ました船長(加山雄三氏)を思わせるサウンド。
三拍子でゆったりしていて、夏と違う海の色が頭に浮かび“秋”って感じで癒される。
湘南の名所(?)サーフショップGODDESSやライブレストランVENUSなども出てきます。
Iドラマ「ハッピーマニア」の主題歌でもあり、スクラッチなども入る一見ノリのよいファンキーなダンスポップと思えるが、実はマイナーで平和、核兵器などメッセージ色が強い曲である。
間奏に入る原さんのラップは北原白秋の引用だが、曲の奥底にあるものを感じると、真っ赤に燃えている空にキノコ雲が見える。それは私だけだろうか?
Jインパクトあるアコギの弾き語り風でジョン・レノンの「Working Class Hero」にインスパイアされているのか。
「D」も社会派だが、こちらはマイナーで落ちるトコまで落ち込ませる。
この曲実際に歌ってみるとデトックスって感じで気持ちいいものだし、一回落ち込んでから這い上がると気持ちスッキリしたりするものだよ。たまには愚痴でも吐かなきゃカラダに悪いよ!?
Kマイナーチューンのボサノバ。詩は地球の裏側ブラジルが舞台。
タイトルどおり哀愁を駆り立てるメロディとアレンジで、カーニバルなどの歌詞も明るさを感じない。
いくつかポルトガル語(?)が出てくるが、意味は下記。
SAUDADE:懐かしさ、郷愁、哀愁の意味。
イエマンジャー:海の女神
アフォシェ:黒人系のブラジル人が信仰する宗教。西アフリカがルーツ。
LアップテンポでGSっぽいサイケなムードのオールドファッションロック。
けっこう色っぽいこと歌ってるんだけど、この曲もいやらしく感じない曲調。
Mスティールギターとウクレレで、ムード歌謡+加山雄三船長のようだ。
一見演歌っぽい詩に出てくる男の未練酒は、私くらいの歳の男なら思い当たるだろう。若き頃を思い出し青臭くて新鮮味がある。
ホントは「爆笑アイランド」ではなくこちらに船長ばりのセリフを入れたかったのでは?
N97年夏にシングルで発売された「01MESSENGER〜電子狂の詩〜」のアルバムバージョン。
「KAMAKURA」に収録された「Computer Children」の続編のような詩で、マシンや情報社会に振り回される人間に警鐘を鳴らしている。
シングルではビートルズの「A Day In The Life」のように終わっているがこちらはフェードアウト。
間奏はジャズのリズムになったり、ギターのリフなどドラムのフィルインなどは元々カッコいいのだが、シングルと比べるとリミックス、アレンジでかなり機械的になっていて少し面白みがない感じ。
逆に言うと『なんでも機械的だとつまらないよ』という狙いなのかもしれない。
O20周年記念ライブ“渚園”をイメージして作ったという心のこもったバラード。
マイナーの曲が多い中、最後は『前向きにいこう』という曲にホッとする。